紫の舞とサボテン/個展終わり日常へ。


もともと この地の住人じゃないけれど
今じゃ ここで 楽しく過ごす

―――――――――――――――――――――――――

中央の鉢植え、「紫の舞」は別名がたくさんあるそうです。
別名:インカノカタバミ、オキザリス ・トライアングラリス、カラスバオキザリス、サンカクバオキザリス
ブラジル原産とのこと。
地球のほぼ裏側からやってきたなんて、すごいです。



個展が終わり、日常へ。
ここ2か月ほど普段の生活を一時停止し、個展の制作に集中していた日々から、日常に戻ってきました。
制作時間を捻出すれば、こんなに制作できるんだ!と感動。
その分、日常のことがずいぶんたまっていました。
運転免許更新、家の整理・家事、定期健診や通院、日々の新聞、
書類の山、子どもの勉強・日常のチェックリスト作り・遊び など。
2週間が過ぎ、なんとか追いついてきました。

ついでに寝不足もだいぶたまっていました。
期限が迫ったものを終え、暑い日々が始まると、数日間眠りの日々でした。
・額やマット在庫の更新
・作品データを大きいデータサイズで取る
・額の片付け
これらができると、個人の仕事としては終わり。
会期後すぐに注文したBOX額は、まだ届いていません。
額装しお送りすれば、完了です。

個展では、新しい制作物のアイデアと気づき・グッズの提案も、お客様からいただけました。
少しずつ実現できるように、作っていきたいです。
絵を描いたり、新しい材料や印刷などの情報も集めて。
まずは作らないとね!

個展の会期前に、もっと前から定期的に情報発信できたらいいと思いました。
制作の遅れがあり作る一心で急いでいましたが、重要ですね。

・自分の作品世界(制作方法・技法、コンセプト)や、制作の背景。
・日常生活のこと
・考えていること
苔庭(ブログ)とTwitterを中心に。

会期中、やはり絵本を作り続けたいと再認識しました。
絵本は1つの作品に対して、描く量が多いです。
下絵で20枚近く、それを描くまでにいくつも描き直す。
(下絵のためのコマ割りや、小さいサイズのラフも入れると、倍以上です。)
そしてさらに原画を20枚近く、それを描くまでにやはり描き直す。

コンペティションに出すならば、未発表作品=オンライン未公開(個展だとOKということもあります)という条件あり。
そのため、現在進行で作っていても、オンライン上ではわかりにくいです。
他から見ると、最近描いていないのかな?と思われてしまう時期もありました。
そのため、苔庭に掲載する小さい作品やクロッキーを描き始めました。
絵本の絵を描くための筋トレでもあります。

作品を作る数は多く、オンライン上でなかなか発表しづらい絵本。
それでも、絵本をめくるときのわくわく、絵から読み解く世界観を思うと、やはりいいなと思うのです。

今の計画としては、絵本を10作ほど作りたい。
今回の展示でも、当初の計画では3作ほど発表予定でした。
実際は、1月から3月のコロナ禍での休園・濃厚接触者該当の出席停止があり、思いのほか時間がとれず、予定より少なくなってしまいました。
その分をこれからやっていきたいです。

個展で発表した、オンライン未掲載の絵も少しずつアップしていきます。
部屋の片付けもしつつ、進めていくぞー。

「苑」と4つの「園」

今回の個展タイトル「苑」と、それぞれの作品「菜園」「庭園」「こども園」「動物園」の4つの「園」のご紹介をします。

こちらのコンセプト集をお読みになると、より作品世界が広がりやすいかもしれません。
個々の作品については、作家在廊時にどうぞお尋ねください。
お待ちしております。

——————————————————————

○タイトルを「苑」にした理由
「苑」では、今しか見られない景色・ものをテーマに、
「菜園」「庭園」「こども園」「動物園」の、4つの「園」を描きました。
タイトルを「苑」にしたのは、「園」は垣(かき)を設けて区切るのに対し、
「苑」はもう少しゆるく区切る、「物事の集まるところ」の意味があるためです。
見る人が現実世界からすっと作品世界に入り、普段と違った気持ちで楽しんでほしい思いをこめました。

ここからは、各園の作品の紹介です。


○「菜園」― 規格外や地物の珍しい野菜・果物

以前暮らしていた農業地帯では近所に産直市場がありました。
毎朝農家さんから直接出される農産畜産物。
その中には旬でないと見られない規格外や珍しい野菜・果物もありました。
日持ちがしない、他への流通に出ない、産地近くでないと見られないこれらにひかれました。

○「庭園」― 主に秋・冬の実家の庭の様子

実家には祖父母が住んでいます。
祖母は大部分ベッドにいる生活、出かけるのが好きだった祖父もあまり外出しなくなりました。
元々手をかけていた庭仕事を熱心にやっています。
今までほとんど変わらない景色でしたが、祖父が家から簡単に出られなくなると、今の庭の様子はなくなってしまうでしょう。
長く過ごした場所だから、庭木や草花に思い出もあります。
残さないと見られない景色になりそうな予感がして、絵に描いてみました。

○「こども園」― 幼児の工作・折り紙

子どもの工作・折り紙など、小さい頃にしか作れない造形・書けない線を追いたくなり描きました。
このシリーズを書くきっかけは、上の作品「鬼になる」の鬼のお面を見てからです。
同時期に作品展もあり、たくさんの作品を一望する機会がありました。
テーマとして同じものを作っているはずなのに、目鼻口のバランスや色・パーツの置き方に、 それぞれの子の個性が出ていて面白いと思いました。
季節感が出るのもいいですね。

今回は長女と二女の作ったものです。
長女は寄り目がち・黒目がちの目とハート・星モチーフが好き。
二女は目が離れていて、あちこち向いています。
どこか本人に似ています。

○「動物園」― 絵本の原画とラフスケッチ

(こちらは絵本のイメージボードです。会場でラフスケッチ・原画をご覧ください。)

現在都市部の下町に住んでいます。
動物園にも行きやすくなり、時々行くようになりました。
二女はボーダーやストライプ「しましま」の服が大好き。
「ちまちま すき」と言って、よく選んでいました。
そんな中考えたお話の1作です。
会場では、ラフスケッチでお話全体が読めるようになっています。
原画も一部展示しています。

描き進めています


先月描いていた絵本の原画、続きを描いています。
まだまだ先はあります。
こちらは描き終えたものですが、これ以外のものを並行して描いています。

シンプルゆえの難しさ。
描けた時の喜び。
絵本以外の絵も描いております。
またそれもアップします。

下絵と原画を描く


下絵:主にコピー用紙に鉛筆で描いています。「下絵」を本の形にした「ダミー本」も含め、よく作っていました。
原画:絵本にするために、水彩紙に絵具などで描いています。「下絵」ができた後に描いていました。

ワークショップに行っていた時期は、ほぼ下絵を作成していました。
構図やページをめくった後の展開など、何度も吟味します。
今でも、絵本を作る=下絵を描く 時間が多いです。

ただ、やはり絵本で大事なのは「絵」。
原画でも、それ以外の作品でも、絵具や色鉛筆、ペンなどで色もつけて描きたい。

この頃は最近の描き方を見直し、
 シンプルな形
 鮮やかで美しい色が際立つ
ように、画材や紙、筆などの道具も見直したり、使い方を変えたり、実験中です。
これまでのみずみずしさを出す描き方も、絵によっては描いてみたい。
融合して描く絵もできたらと思っています。

寒かった冬もピークが過ぎ、だんだん春めいてきました。
日差しが強くなり、周りの景色の色が明るく感じます。
また描くのがさらに楽しくなりそうです。

カタツムリ着彩完了


5月から手がけていた、カタツムリの絵本の原画が完成しました。
私の場合、いつもは自分の文章と絵で絵本を作っています。
今回の絵本は、学生時代にストーリーテリング(覚えたおはなしを本を見ないで語ること)で、聴いた作品に絵をつけてみました。
これからこの作品を絵本の形として見られるように、スキャニング・文字付け・ごく簡単な製本をします。

8月は、絵本のワークショップの参加、最近出版された絵本の原画展を見に行く、絵本を作る友人たちに会う機会がありました。
「こんなお話はどうだろう」と絵本アイデアを10以上出してみたり、
「下絵を今までと違うやり方にしたらどうだろう」「配色や画材、今度はこうしてみようか」と、制作の次の方法についてどんどん考えるようになりました。
蒸し暑い空気の中に、すっと秋の風が入ってきたような、いい刺激をいっぱいもらいました。
これから作るのが楽しみです。

先ほどのワークショップの中で、ごく最近出版された絵本の「絵本のラストはどうなるか?」を、絵や文章で描くコーナーがありました。
私は全く思いつかず、
・最後の手前のページや裏表紙とのつながり
・絵本の帯に付いているコピーから
・物語の最後の方でお母さんが「手伝って」という言葉をヒントに
合計5案出してみました。

参加されている方の中には「絶対これでしょう!」と話され、実際のラストシーンにかなり近いものを描いている方もありました。すごい!
その他に、物語の中のエピソードからまた別の発想をした作品、ブラックユーモアを含んだ終わり方などがありました。作り手さんならではのストーリー展開もあり。
絵も丁寧に1枚を仕上げた人もあれば、いくつもバリエーションがある方など、作り手の数だけバリエーションがありました。

最終的に、なんとワークショップ講師の編集者の方より、私の作品を今回のベスト1に選んでいただきました。
ちなみに選ばれたのは、これでした。
【絵本の中で、お父さんが手巻き寿司の作り方の大きな紙を子どもたちに見せるシーンと、同様に、お母さんが片付けの手順の大きな紙を家族に見せるシーン
(片付けといっても、残りの具をどう食べるか・料理して作り変えるかなどを提案するもの)】
なかなかアイデア浮かばなかっただけに、選ばれた時は驚きました。

そして、コーナーで使われた、この絵本をいただきました。

手巻き寿司の絵がとてもおいしそうです。食べたくなります。

その後持ち帰って家の絵本の本棚に置いておいたら、娘が読みたいと持ってきました。
一緒に読んでいたら、途中までけっこう集中して読んでおりました。おお!
しかし、ラスト2シーン手前で、「やーん」と言って閉じてしまいました。
まだ2歳手前の娘には少しイメージがつかなかったのかな。
そのうち、娘とも手巻き寿司やりながら、絵本が楽しめるようになるのだろうなとも思いました。

8月ももう終わり。
蒸し暑かったこの夏、ようやく湿度が落ち着き、空気が秋の初めのようになってきました。
秋は、しばらくカタツムリの絵本制作に集中していたところから、
ホームページ更新や他の制作へと、やりたかったことを始めてみます。

カタツムリ 試着彩


試しに色を塗って様子を見てみました。
今回はいつも使っている絵具と替えてみました。
うずまきのところ、境目がきれいにでている部分とあいまいな部分があります。
色を大きく変えずに自然にうずまきが出るようになるのを希望しますが、思い通りにいかないものです。

背景全体に塗っている下地材が、よくも悪くもボワンとした色合いになっております。
一度これでやってみて、違う方がよければやり方を変えようかな。

着彩したカタツムリの殻が、水色・青などの青系の色になっているのには、ちょっとした訳があります。
これは後々全体が見られると、「そういうことね」となると思います。

続きを描いていきます。

カタツムリ

絵本の下絵を描くにあたって、このあたりにいるカタツムリを、本を参考にメモ代わりに描いてみました。

カタツムリに関する本を読みこんでみると、知らなかったことがいっぱいでした。
・カタツムリは日本に800種ほどいる。
・オスとメスの区別がない雌雄同体。
・殻の上側が平らなもの、
 殻に毛のようなものが生えているもの、
 殻が赤・緑・黄などのカラフルな種類のものもいる。
・ナメクジとカタツムリは同じ仲間。
などなど…

今回の絵本はシンプルな絵にしたいです。
たくさん描いて、多様なカタツムリの世界を出せたらなと考えています。

もう少しすると、カタツムリに出会いやすい季節になります。
直接会って、その環境も一緒に描けたらいいな。
背景の草・岩・苔などもスケッチしたいです。