すきな本がずらっと並ぶ 部屋にあこがれて
大きな本棚を買った
それからどんどん本が増え
本棚から溢れ出る
溢れ出た本は タワーとなり 街ができる
そのうちタワーは 味わいが出て
ずっと前から存在している佇まい
街は活気をおびる
ある時 大きな風が吹く
地響きが起こり タワーは変化を余儀なくされる
違うものが覆いかぶさる
しばらく見られなかった 地表が顔を出すところもある
街は永遠に続くわけではなかった
新陳代謝はやむをえなかった
生きものと同じ
それから タワーの残骸は
満ちた潮が 少しずつ引いて 海へ帰る時のように
もといた本棚 新天地 命を全うするもの
それぞれの道へと 流れていくのであった