「苑」と4つの「園」

今回の個展タイトル「苑」と、それぞれの作品「菜園」「庭園」「こども園」「動物園」の4つの「園」のご紹介をします。

こちらのコンセプト集をお読みになると、より作品世界が広がりやすいかもしれません。
個々の作品については、作家在廊時にどうぞお尋ねください。
お待ちしております。

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○タイトルを「苑」にした理由
「苑」では、今しか見られない景色・ものをテーマに、
「菜園」「庭園」「こども園」「動物園」の、4つの「園」を描きました。
タイトルを「苑」にしたのは、「園」は垣(かき)を設けて区切るのに対し、
「苑」はもう少しゆるく区切る、「物事の集まるところ」の意味があるためです。
見る人が現実世界からすっと作品世界に入り、普段と違った気持ちで楽しんでほしい思いをこめました。

ここからは、各園の作品の紹介です。


○「菜園」― 規格外や地物の珍しい野菜・果物

以前暮らしていた農業地帯では近所に産直市場がありました。
毎朝農家さんから直接出される農産畜産物。
その中には旬でないと見られない規格外や珍しい野菜・果物もありました。
日持ちがしない、他への流通に出ない、産地近くでないと見られないこれらにひかれました。

○「庭園」― 主に秋・冬の実家の庭の様子

実家には祖父母が住んでいます。
祖母は大部分ベッドにいる生活、出かけるのが好きだった祖父もあまり外出しなくなりました。
元々手をかけていた庭仕事を熱心にやっています。
今までほとんど変わらない景色でしたが、祖父が家から簡単に出られなくなると、今の庭の様子はなくなってしまうでしょう。
長く過ごした場所だから、庭木や草花に思い出もあります。
残さないと見られない景色になりそうな予感がして、絵に描いてみました。

○「こども園」― 幼児の工作・折り紙

子どもの工作・折り紙など、小さい頃にしか作れない造形・書けない線を追いたくなり描きました。
このシリーズを書くきっかけは、上の作品「鬼になる」の鬼のお面を見てからです。
同時期に作品展もあり、たくさんの作品を一望する機会がありました。
テーマとして同じものを作っているはずなのに、目鼻口のバランスや色・パーツの置き方に、 それぞれの子の個性が出ていて面白いと思いました。
季節感が出るのもいいですね。

今回は長女と二女の作ったものです。
長女は寄り目がち・黒目がちの目とハート・星モチーフが好き。
二女は目が離れていて、あちこち向いています。
どこか本人に似ています。

○「動物園」― 絵本の原画とラフスケッチ

(こちらは絵本のイメージボードです。会場でラフスケッチ・原画をご覧ください。)

現在都市部の下町に住んでいます。
動物園にも行きやすくなり、時々行くようになりました。
二女はボーダーやストライプ「しましま」の服が大好き。
「ちまちま すき」と言って、よく選んでいました。
そんな中考えたお話の1作です。
会場では、ラフスケッチでお話全体が読めるようになっています。
原画も一部展示しています。

潮溜と苔庭

サツマイモの芽
新しいホームページは「潮溜」(しおだまり)、ブログはそのまま「苔庭」(こけにわ)と名付けました。今回はその由来について書いてみます。

「苔庭」は、もともと私が苔を見るのがすきということもあり名付けました。
ブログを始めた当初、ただブログというだけでなく、今までの作品を見られる場としても考えていました。
なので、作品の集まりとして、一言でなにかいいものはないかな、と考えて名前をつけることにしました。

苔は種類がたくさんあって、じっと見ていると少しずつ違っていてひきこまれます。奥深いです。集まると小さな森のようにも見えます。
そんな苔を見ていくかのように少しずついろいろな作品や絵と言葉での世界を楽しんでもらえたらと思いました。

ホームページをつくるにあたり、ただ公式ホームページとするだけでなく、「苔庭」と同じようになにか名前をつけたいと思いました。
「苔庭」が先にあったので、それと対になるようなもの・和を感じる名前がいいな、といくつか考えるうちに、「しおだまり」を思いつきました。

漢字表記は本来「潮溜り」ですが、今回は「潮溜」の表記にすると苔庭とペアという感じがして、ホームページ名はあえて「り」を省きました。

海に行き、潮溜りがあるのを見ると、潮が満ちるまで・ここまで海水が再びたどり着くまでの期間限定で、小さな生き物たちが小さな海の中で生活している。
いつもは見かけない生き物もいれば、磯の生き物もいる。
場合によっては日照りでこの水は無くなってしまうかもしれないし、潮溜りが海の中に入ってしまうかもしれない。

潮溜りで生き物たちが過ごしている、長い目で見ると一瞬のような一期一会の光景にひかれます。

このホームページ、ブログで多くの作品とその世界を出していけたらと思っています。