前回の投稿で、
水張りした紙に、ポスターカラーでグラデーションを描く方法
を学んだことを書きました。
今回は、今までよく背景用で使ってきたアクリルガッシュと、ポスターカラーで描く際の違いを書いてみます。
ポスターカラーで描く場合
- 絵具が若干もったりする程度に薄める。
あまり水を入れ過ぎない。 - 画面に筆を入れる際、できるだけ絵具を拭う。
- アクリルガッシュと比較して乾くのが遅いため、じっくりグラデーションの調整ができる。
ただ、何度も同じところを筆で行き来せず、さっと仕上げる方がきれい。 - 乾くのが遅い分、「水消し」(一度絵具をのせた部分を、水をつけた筆で拭い取る。)ができる。
紙の白い地の色を出すことで、次のモチーフを描くことができる。 - 乾いてからも、水分が画面にかかるとにじむため、絵具を重ねる際に絵具の水分量に気をつける必要がある
アクリルガッシュで描く場合
- 絵具は筆が動かしやすく、ムラができないくらいに薄める。
濃度はポスターカラーよりだいぶ薄くする。 - 絵具は性質上ポスターカラーより硬いので、横縞はできやすい。
繊細さやグラデーションの階調のスムーズさは、ポスターカラーの方かも。
描き手の筆運びの味が出せるのは、アクリルガッシュの方かもしれない。 - ポスターカラーより速乾性があり、早めに仕上げる必要がある。
(ワークショップで描いているときでも、紙の方の湿気は割と早く乾きました。
結果的にきれいに仕上げるには、すばやい動作と判断力なのかも。) - 乾くと、耐水性。
絵具を重ねてもにじまなくなるので、何度も重ねて描きやすい。
ただ、背景色が濃い場合、白・淡い色のモチーフを描くと透ける。
さらに下地を塗った上で描くか、予めマスキングなど塗らない手法を取る必要あり。
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「描きたいモチーフや色合いによって、ケースバイケース。」
というのが、現段階での結論です。
スキャンし出力した色合いが鮮やかなのは、アクリルガッシュ。
あまり調整しなくても、原画に近い印象でデジタルスキャンや撮影がしやすいです。
ポスターカラーも鮮やかですが、原画の印象に近いものにする場合は、少し調整した方が忠実になります。
筆さばきがスムーズで、細部の描き込みに向いているのは、ポスターカラー。
コリンスキー、リス、羊毛のような天然毛の筆も、毛を傷ませにくい。
これらは毛先が効いて、細部の書き込みがしやすいです。
(動物毛の筆が入手しづらい場合があり、代用品として人工毛で、コリンスキーやリス毛に似せたものも出てきています。
私も持っていますが、まだ試しきれていません。
これもグラデーション同様、試していきたいです。)
背景に使う色は、最近あまり多く混色しません。
混色すると、鮮やかさが少し落ちる場合があるからです。また、絵本で同じ色を何度も再現したい時、追加で作り直しをすると、色味が微妙に異なることも。
そのため、ポスターカラーかアクリルガッシュかの選択は、あまり混色せず、絵具そのものの色の中に求める色があるか、が判断材料となりそうです。